また、指切りました。最初の判断を誤ったわたしのジタバタ記録

包丁で切って3か月後の左手人差し指の傷跡の様子 身体の備忘録
包丁で切って3か月後の左手人差し指の傷跡の様子

※本サイトで紹介している商品等の外部リンクには、アフィリエイト広告を利用しているものがあります。

※指を切ってしまって、検索してこのページにたどり着いてくださった方へ

切ったばかりでしたら、今すぐ病院へ行ってください。

止血に苦労するくらい出血した場合は、ご自身の精神安定のためにも、すぐに病院へ行っていただくことをおすすめします。

もし形成外科へ行ける環境にある方は、ぜひ形成外科へ。

形成外科を知っていますか?

形成外科医はキズあとが目立たなくなるような特別な皮膚の縫い方を習得しているのです。使用する手術器具や糸、皮膚を縫う技術などすべてで、他の外科とは違う形成外科特有のエッセンスがあります。キズをきれいに治すには、形成外科の手術だけではなく、手術前・後の治療も大変重要です。キズをきれいにする薬を塗ったり、テープで圧迫したり、手術後の安静などが必要で、それらは患者さんの理解と協力がなければできません。良い結果を得るために、このような手術前・後の適切な処置や指導も形成外科医が行います。

一般社団法人 日本創傷外科学会

後悔しないためにも、ぜひ病院へ

この夏、包丁で指を切ってしまいました。
それから3か月以上が経過した今でも、わずかな痛み違和感感覚の鈍さ、皮膚のつっぱり感が残っています。見た目にも、傷跡(切り口)部分はへこんでいますし、包丁が入った部分はシリコンでも入っているようなしこりがあります。以前のように指をピッチリ折り曲げることはできませんし、動かしにくさは否めません。それでも、当初から比べれば、よくぞここまで回復したなと自分でも驚くほど良くなりました。

ですが、指を切ってしまったあの日、すぐに形成外科に行っていたなら、もっと早く、もっときれいに治っていただろうと思っています。

『形成外科』がどういうところなのかも、そのときのわたしは知りませんでしたし、行くとしたら整形外科かな、くらいの知識でした。例えその時点で形成外科にたどり着けなくても、せめて近くの整形外科に行くことができていたなら、プロの診断や治療を受けられたことと思います。

やるべくしてやった、自業自得の結果だと痛感していましたので、それをお医者様に伝えることに躊躇したのは事実です。その少し前に、夫が深夜にケガをして帰宅したことがあり、応急処置ができるケア用品を揃えたばかりだったこともあります。5年前にも指先を切って、そのときはその日のうちに病院に行ったものの、その後のケアは自分でやったという経験もありました。

もともと病院に行くのが得意ではないこともあり、このまま自分で何とかできるかもしれない、と思ってしまったのです。間違いでした。関節に近いところなどよく動かす部分、動かした結果、傷口がズレたり開いたりするような場所の場合は特に、病院に行かないと後悔することになると今回痛感しました。

ケガをした直後に病院に行かないと、その後不安に思ってもなかなか行けなくなります。数日が経ち、傷口がくっついて固定されると、今さら傷口を開くの?と思うからです。
現在進行形でまだまだ痛い段階で、切った直後、もっともっと激烈に痛かったときの記憶がまだ鮮明なときに、また振り出しに戻るのかと想像するのもつらいです。ですが、途中の経過が思わしくないとき、変化したときにはどうしても不安になります。これは精神安定上も非常によろしくないです。
でも、今さら病院へ行って、1から説明するの?とも思ってしまいます。すぐに病院へ行っていれば味合わずに済んだいくつもの不安を抱えることになりますので、やはり、ケガをしたらすぐに病院に行ってほしいです。
わたしと同じ思いをしてほしくありません。

もし、ケガをしてしまった直後、不安な思いで検索してココにたどり着いてくださった方がいらっしゃいましたら、ぜひ、すぐに、近くの形成外科、もしくは整形外科、皮膚科へ行ってください。

後々調べたところ、わたしの住む地域には、近くに形成外科はありませんでした。
お住まいの地域にもよると思いますが、第1候補は形成外科です。できるだけきれいに治したいなら形成外科へ。

もしなければ、整形外科か皮膚科へ。
ぜひ至急検索して、とりあえず電話をかけてみましょう。状況を説明したら、今その場ですべきこと、病院に来るべきか否かなどのアドバイスもいただけることと思います。
一度プロに診ていただくことで、ケガの治りも、その後の心境もまったく違うものになるはずです。

自分自身の反省を込めて、今回のケガの経緯を記録しておこうと思います。

なお、かなり痛い話となります。目にあまるようなひどい状態の時の写真の掲載は控えますが、痛い話や血が苦手な方はこれ以上スクロールしないことを強くおすすめします。

指を切ってしまったときのこと

ある日の昼下がり、きんぴらごぼうを作ろうと、包丁で太いゴボウに切れ目を入れていたときのことです。
普段は、まな板に対して垂直に包丁を入れているのですが、何を血迷ったか、慢心か、その日は、また板に対して水平に包丁を入れていました。
硬いゴボウを切るために、包丁を持つ右手には当然力が入ります。ゴボウを押さえている左手は、包丁の刃の先にありました。
途中までは、ゴボウを切っていたのです。それが途中からすっぽ抜けました。
力を入れた勢いのまま、気づいたときには、左手人差し指付近が真っ赤に染まり、右手には、血の跡の付いた包丁を持っていました。
あーやってしまったな、と思いました。この間多分1秒か2秒、あっという間の出来事でした。

ニトリルの手袋をしていたのですが、その切れ目から赤いものがどんどん滲み出してきます…
どの程度切ってしまったのか、この段階では自分でもわかっていませんでした。
状況の確認のためにも急ぎ手袋をとり、露わになる指。

もう左手の人差し指も中指も真っ赤に染まっていて、どこがどのように切れているのかわからない状態。
水道水で血液を流して傷口の確認をしようと試みるものの、どんどんあふれ出てくる血が指の関節や細かなシワに入ってしまい、切れ目がどこなのかよくわからないのです。

ただ、モーレツに痛いのは左手人差し指。それ以外は大丈夫そうだということは痛みの有無でわかりました。

とにかく出血を止めなければ。

キッチンペーパーを何枚も引き出して、グシャッと丸めて人差し指に当て、右手で人差し指を握るようにしてグッと押さえましたが、みるみる染まるキッチンペーパー。

これはダメだと、先日買ったばかりの『ヘモスタパッド』を取りに奥の部屋へ。

右手で左手人差し指を握ったまま、引き出しを開けて物を取り出すのも、
その袋の封を切って開けるのもなかなかに大変でまごつきます。

袋の封を切る、ジッパーバッグの口を開けるという作業は、両手共に自由に使えないとうまくできないものなんだななどとよぎりながらも、キッチンペーパーからポタポタ滴り落ち始めた血液を何としても止めなければと、何とか袋を開けて、中身を取り出し、ハサミで切って、キッチンペーパーを指から外して、切ったヘモスタパッドを激痛の箇所に押し当てて、ギュッと押さえました。
みるみる染まっていくヘモスタパッド。フチまで赤く染まり、外してもう1枚、同じように。
ギュッと握っていた右手を開いたら、それまでの染まるスピードとは明らかに違うように見えて、ヘモスタパッドを開いて傷口を確認。
止まってくれた…とホッとしました。

ヘモスタパッドは、使うのが初めてだったので、中身はその時が初見で、とりあえず短辺に水平に一直線に切ったものの傷口に対してあまりに長過ぎ、長さを半分にしてから当てました。結果として、切り出した2枚で止血に成功しました。

白いふわふわした面を傷口に当てるのですが、その線維が若干傷口や周辺に付着していました。
その繊維を取り除くためと、傷口はとにかく清潔に!の考えのもと、傷口が開かないように指先から流水を流すようにして手を洗いました。
新しいキッチンペーパーで水気を押さえて傷口を確認。

包丁で切って止血後すぐの左手人差し指の傷口
切った直後、止血後すぐの左手人差し指の傷

自己判断の責任は、自分に返ってきます。

わたしの感覚としては、切ったというよりも、刺さったという感覚。
力の入った状態で、ものすごいスピードで包丁が指に刺さって、骨で止まって、慌てて右手を戻したことで刃が抜けた感じだろうと思いましので、少なくとも骨に当たるところまでは刃が入ってしまっていると思いました。
奥にいくほど深くなる傷です。神経は大丈夫かなと指を曲げてみましたが、いつも通りピッチリ曲がりました。

もちろん、ものすごく痛いですし、ものすごい異常事態だと感じてはいるのですが、血は止まったし、指はいつも通り動かせる。ケア用品もある。

病院に行かなくても大丈夫かな、と思ったその判断が間違いでした。

切った直後は、痛いだけでした。でも、2日目・3日目と、傷口から先の指が見たこともないくらいパンパンに腫れあがりました。そして、傷口から先、爪のすぐ下までの、指の表面側と右側側面の感覚がなくなりました。感覚がなくなるのは予想外でした。そしてそれは、1か月半以上続きました。治るか治らないかわからない状態が続くのは不安です。よくなる気配が見えても、完全に戻るかどうかはわからない状態が続きます。

感覚がなくなってから1か月半ほどして、時折、その一部分にビリっとした痛みが走るようになりました。結構な痛みで、最初は『え?何?』と思いました。少しすると痛みはおさまるのですが、痛みがあった数日後に少しずつ少しずつ膜をはがすように感覚を取り戻していく(=痛みを感じるようになる)ことを何度も何度も重ねて、一部分ずつ、ほんの少しずつ感覚を取り戻していくことができました。ですが、それは多分たまたまです。途中で止まってしまうかもしれない、麻痺が残るかもしれない不安は、ごく最近、ほぼ全体の感覚を取り戻せたな…と思えた時まで約3か月間ずっと続きました。

包丁で切って止血後すぐの左手人差し指の傷口と左手全体
切った直後の左手人差し指の傷と左手全体。すでに腫れはじめているようです。

ゴボウを切っていて包丁がゴボウからすっぽ抜けてしまったとき、左手も多分本能で、必死にかわそうと刃から逃げる動きをしたのでしょう。
ゴボウを押さえていた手の角度とは反対の角度から刃が入っていました。

後から振り返れば、とっさに肩から腕を左に動かしたような記憶があります。反射的に、できるだけ被害を小さくしようとする本能が働いたのだと思います。

傷口のケアに使ったもの

  • 瑞光メディカル ヘモスタパッド
  • バンドエイド キズパワーパッド
  • 瑞光メディカル プラスモイストP
  • ニチバン 肌にやさしい粘着包帯
  • パーフェクトバリア(ハサミ)
  • ハナキゴム やわピタ 指サック
  • ニチバン シアテープ
  • プラスモイスト ハイドロコロイド包帯
  • エアウォール
  • 3M ネクスケア マイクロポアテープ
  • バイオイル
  • レチノールクリーム
  • 3M コーバン 自着性弾力包帯 スキントーン
  • 指サポーター

番外編 アロマテラピー用品、エッセンシャルオイル

この他にも買いましたが、これがあればと思ったもののみご紹介します。今回特に助かったものは、太字で表示しています。

ヘモスタパッド

瑞光メディカルヘモスタパッドとよく切れてくっつきにくいはさみパーフェクトバリア
瑞光メディカル『ヘモスタパッド』とよく切れてくっつきにくいはさみ『パーフェクトバリア』

ケガをした直後、とにかくしなければならないのは出血を止めることです。「指先は出血量が多くなりがち」だと、前回指を切ってしまったときに行った病院の看護師さんから伺いました。

今回は、傷口がV字型で約1cmずつ合計約2cm程切れていました。包丁でV字に切っているということは、Vの上の先端を結ぶ線まで三角形に刃が入っているということになります。奥に向かって深くなっていたこともあり、キッチンペーパーの上からギュッと握るように圧迫しても全然血が止まる様子はありませんでした。ぐるぐるにしたキッチンペーパーはみるみるうちに赤く染まっていき、また新しいキッチンペーパーを急ぎ巻き取って同じように指を圧迫しましたが、先ほどと同じような勢いで染まっていきました。

この方法では出血を止められない。そう思った私は、買ったばかりの『ヘモスタパッド』を取りに行き、結果、止血することができました。今回『ヘモスタパッド』がなければ、スムーズに止血できたかどうかわかりません。

ケガはしないに越したことはありません。でももし万が一ケガをしてしまったら、とにかく止血だけはすぐにしたいですよね。その後病院に行くにも、出血したまま移動するのは避けたいものです。『ヘモスタパッド』があれば、もしものときの助けになります。

キズパワーパッド 

バンドエイドのキズパワーパッドには、これまでも何度も助けられてきています。いろいろな形状のものがあり、傷の箇所や傷の大きさによって使い分けられるのもとても便利です。今回も、最初はキズパワーパッド水仕事用を貼りました。傷が落ち着くまで3日くらいは貼ったままにしておきたいと思ったからです。ですが、わたしの貼り方に問題がありました。傷跡が腫れあがることをまったく考えておらず、指を一周するようにぐるりと貼ってしまったのです。翌日、指がパンパンに腫れ上がり、キズパワーパッドが指を締めるような状態になってしまいました。やむなくはがしましたが、水仕事用でなくスポット用を貼っていたら状況は違っていたかもしれません。ただ、キズパワーパッドではケアできないと思うほどの傷であれば、やはり病院へ行くべきだと思います。

プラスモイストP と 肌にやさしい粘着包帯

瑞光メディカルプラスモイストPとニチバン肌にやさしい粘着包帯とよく切れてくっつきにくいはさみパーフェクトバリア
瑞光メディカル『プラスモイストP』とニチバン『肌にやさしい粘着包帯』とよく切れるはさみ『パーフェクトバリア』

指を切った翌日、キズパワーパッド水仕事用をはがして、流水で傷口周辺を含め手をよく洗いました。指全体が赤く腫れあがっているにもかかわらず傷口周辺だけはテープで固定された状態だったため、切れた皮がよれてギャザーが寄ったようになっていました。この先も腫れるのか、この時点では判断がつかなかったこともあり、ギャザーが寄った状態のままテープで固定するのはやめた方がいいと思いました。傷口にくっつかないタイプのケア用品として、以前も指のケガの時に使った『プラスモイストP』を傷口より少し大きめに切り取り、『肌にやさしい粘着包帯』で密閉しないように留めました。毎日1度は必ず貼り換えることにしていたのに加えて、プラスモイストPや留めているテープが濡れた際にはすぐにはがして、都度手を洗ってキッチンペーパーで水気を押さえてから、新しいものに貼り換えていました。数日が経ち、肌にのせる側の白い面の網目のような模様に皮膚がくっついて伸びてしまい、治りかけの皮膚がはがれるようになった段階(今回は5日位)で、キズパワーパッドのスポットタイプに切り換えました。頻繁につけはずしをせずに済むハイドロコロイド系を貼って傷口を保護することで、皮膚の再生を促進したいと思いました。

ハイドロコロイド包帯 と エアウォール fuwari

瑞光メディカルハイドロコロイド包帯アドバンスとエアウォールfuwari
瑞光メディカル『ハイドロコロイド包帯』と『エアウォールfuwari』

『プラスモイストP』から切り替えて使ったのが『キズパワーパッド』のスポットタイプ。今回の傷は関節のすぐそばだったため、動かしやすさも考慮して、一部切り取って使いました。何度か同じように切って貼り換えましたが、切って使うなら『ハイドロコロイド包帯』もあります。傷の大きさに合わせて切り取ることができるのが最大のメリット。よりフレキシブルに対応できます。キズパワーパッドのスポットタイプのストックがなくなった段階で、『ハイドロコロイド包帯』へ切り換えました。

キズパワーパッドやハイドロコロイド包帯は、どうしてもフチからはがれやすいので、その保護のために、その上からひとまわり大きく切った『エアウォール』を貼りました。『エアウォール』は、防水フィルムです。防水フィルムは、ごく薄いフィルムという性質上、上下の紙とフィルムをはがす工程があります。サイズはいくつかありますが、広幅サイズの方が紙とフィルムをはずしやすくてオススメです。幅に対して半分のところにフィルムの切れ目が入っているため、テープの幅と長さを逆に考えると貼りやすくなります。例えば、2cm×5cmの大きさのテープが欲しい場合、幅5cmのテープを2cm長さで切り取るということです。

防水フィルムの貼り方には注意が必要ですが、貼ってしまえば、ごく薄いフィルムで防水してくれるため、精神的・身体的負担がかなり減ります。素肌感覚に感動さえ覚えます。ただ、時間が経つと『エアウォール』だけをはがすことはできないので、取り換えるときはすべてはがして、手をきれいに洗って…と1からやり直すことになりますが、貼ると貼らないとでは大違い。はがれにくさも、安心感も段違いです。

パーフェクトバリア(ハサミ)

『ヘモスタパッド』、『プラスモイストP』、『ハイドロコロイド包帯』、それを留めるための各種テープ、これらはすべて自分で切って使うタイプのものです。傷の大きさに合わせて切り取れるのがとても大きなメリットですが、清潔で、よく切れるハサミが必須です。『パーフェクトバリア』は、刃の部分に特殊コーティングが施されていて、テープの糊がくっつきにくいのが特長です。普通のハサミだとそもそも切りにくいべたつくテープをスパッと切れ味よく切ることができて、ハサミに糊が残りにくいのは、想像以上にストレスフリーです。ハサミ自体は大きめですが、小回りもよくききます。

ケアには、時間もかかります。その生活は、傷が治るまでしばらく続きます。痛みも不安もある中、時間も取られながらのケアとなります。ストレスなく切れる、よく切れるハサミが1本あるだけで、ケアへの負担が確実に減ります。

やわピタ 指サック と シアテープ

ニチバンシアテープ防水ばんそうこうとハナキやわピタ指サックSとM
ニチバン『シアテープ』防水ばんそうこうとハナキ『やわピタ』指サック

指のケガで一番困るのが水を使うとき。できるだけ使わないようにしようと思ってはいても、顔を洗う、シャワーを浴びる、食事の準備をするなどなど、日常生活で水を使う場面は必ずあります。特に、ケガをしたばかりのごく初期、『プラスモイストP』でのケアをしているときは、基本的に防水性能はゼロです。水を使えば、もれなく濡れます。というわけで、とても大切な防水対策。指のケガ限定の対策ではありますが、指のケガであれば、これさえあれば何とかなります。指サックはいろいろな種類があります。張りがあってフィットしにくく、指が動かしにくいものも多いのですが、『やわピタ 指サック』は、わたしが試した中では、断トツにやわらかくフィットして使いやすいです。ケアして普段より太くなっている傷の部分が無理なく入るサイズ選びが大切なのはもちろん、指にフィットするところで指サックをカットして、水が入らないように、シアテープ(防水テープ)で指の周囲をぐるり1周巻きつけるようにとめると、水が入ってくることはありません。これで、水に濡れる作業もできるようになります。ただ、長い時間そのままでいると中が蒸れてきますので、使うのは必要最低限と考えていました。

今までご紹介してきたのはすべて、出血や浸出液などをともなう、ふさがっていない傷口(きずぐち)に対するケア用品です。ここからは、皮膚ができ上った後の傷跡(きずあと)に対するケア用品をご紹介します。

エアウォール UV と マイクロポアテープ

エアウォールUVと3Mマイクロポアメディカルテープ
『エアウォールUV』と3M『マイクロポアメディカルテープ』

ようやく傷口がふさがって、薄くでも皮膚ができるとホッとしました。でも、まだまだ油断大敵です。どうしても動かしてしまう場所は、何かのアクシデントで傷口が開いてしまうことも珍しくないようで、実際、人差し指というところは、こんなにも普段の生活でいろいろと触ったり使ったりしているのかと痛感させられることの連続でした。

一応ふさがったとはいえ、まだまだうっすらとした弱々しい皮膚。切り口から先は麻痺したような感覚でしたが、切り口部分は触れると痛みも強く、傷跡への物理的な刺激も避けたい。引き続きテープで固定して保護し続けることにしました。ただ、今までとは状況が違います。うっすらとはいえ皮膚ができている。ハイドロコロイド系のテープである必要はなくなりました。

傷跡は皮膚が薄くて弱いので、紫外線にあたって日焼けしてしまうと傷跡が黒くなってしまうリスクが高いそう。できるだけきれいに治したいと思うのは人の常で、UV対応の『エアウォールUV』を試してみました。薄いフィルムで保護できるのはとても有り難い。ただ、今回の傷のような指という曲線部分に貼るには、19mm幅のテープは少々貼りにくかったのです。右手だけで貼ろうとするとシワも寄ってしまうし、結果はがれやすくもなってしまう。広幅サイズのテープを選ぶか、他の人にケアをやってもらえる場合には最適解となると思いますが、今回は別のテープを使うことにしました。

代わりにとさがして見つけたのが、3Mの『マイクロポア』メディカルテープ。防水フィルムとは根本的に考え方が違って、マイクロポアは濡れること前提のテープです。手を洗って、テープを濡らしても、普通に手を拭いて、気づいたらテープも乾いています。何度も繰り返すと若干テープがこわばってくるような感覚はありますが、手を普通に使えるというのは、かなり大きなメリット。貼って少し時間を置くことでしっかりくっついてくるタイプのテープのため、貼った直後の水の使用は控えていました。また、かなり強い粘着力があり、傷跡とはいえまだ弱々しい皮膚に、貼ってはがすを繰り返す刺激が心配で、傷跡の上に次に紹介する『レチノールクリーム』をたっぷりのせてから、かぶせるようにしてマイクロポアテープを貼りました。クリームがテープから滲み出してくるので、さらに上から少し長めに切ったマイクロポアテープを重ねて貼りました。毎日1回、寝る前に取り換えていました。

バイオイル と キソケア レチノールクリーム

Bioilバイオイルスキンケアオイル125mlとKISO CARE 純粋レチノール原液5%配合フェイスクリーム
Bioil(バイオイル)と KISO CARE 『純粋レチノール原液5%配合フェイスクリーム』

傷跡のケアに、ビタミンAの入った『バイオイル』が世界的に有名だと知り、入手しました。ただ、オイルが浸透した後にUVカットのケアを重ねてする必要があり、そのワンステップが増えるのを面倒に感じてしまいました。オイルは浸透してしまうとほぼ見えなくなってしまい、物理的にたっぷり塗るということも難しいため、クリーム系のものでケアしたいという思いもありました。

クリーム系でビタミンAの入ったものなら、レチノールクリームがある!と思い、キソケアの『純粋レチノール原液5%配合フェイスクリーム』を傷跡にのせて、その上から先ほどのマイクロポアテープを傷跡の大きさに切り取って貼ってみました。レチノールクリームを使うのは初めてだったので、最初はおそるおそるうっすら塗るところからはじめましたが、特に異変などはないようだったので、翌日からはたっぷりとのせるようになりました。クリームをたっぷりのせると、テープの細かい穴から白いクリームがポツポツと出てきます。クリームがテープ全体に広がってパックのようになると同時に、テープの粘着力もほぼなくなるため、上から同じテープを少し大きめ・長めに切って、先ほどのテープを覆うようにして重ねて貼るようにしました。たっぷりのレチノールクリームとマイクロポアテープを二重に貼ることでUV対策と考えました。下のテープは傷跡より少し大きめに、上のテープは下のテープを覆えるくらいのサイズで少し長めにななめに切り、巻きつけるときに指に添うようにして貼っていました。巻き終わりは軽く重なるかどうかくらいで、できるだけしめつけないように気をつけました。

『マイクロポアテープ』は、とてもお手頃な価格なのも、使いやすいポイントです。傷跡の形に切るときに、角を落とすようにカーブをつけるようにして切っていたのですが、思ったより小さく切ってしまったりと失敗しても、新しいテープを切ることに躊躇しないで済むのは、精神的にもラクでした。

クリームをたっぷりのせてからテープを貼ることで、傷跡へのテープのつけはずしによる刺激はなくなりました。そのケアを、指を切ってしまった日から79日目になる日まで続けました。そして、80日目からは、なるべく素手で過ごすことを心がけました。その理由は、傷跡が指の関節にかかるところだったために、手を動かす度にテープが関節部分の皮膚に刺激になっているように感じ始めたからでした。傷跡とはいえ、まだまだ腫れもあり、指を曲げることで関節部分の皮膚が寄って、腫れた部分も巻き込んで寄ってしまうので、回数を重ねることで、だんだんとテープの負担の方が気になっていったためです。

ただ、それはテープの問題ではなく、使用する期間が長丁場になったせいだと思っています。実際その後、紙で手を切ってしまったなどのちょっとした傷に『マイクロポアテープ』を貼っておくと、2~3日できれいに治っています。傷口を固定することで、痛みを感じることなく短期間で治すことができるとても便利なテープとして、これからもストックしておくつもりです。

話を戻しますが、レチノールクリームでのパック状態が続いていた傷跡周辺は、その部分だけマネキンの指のように白くつるつるになりました。白いとはいっても、白抜けするような白さではなく、日焼けをしていない白さです。手の甲側の指表面は、通常は横ジワが何本も走っていると思いますが、パック部分だけはつるっつる・すべっすべになりました。もちろん、まだまだ腫れていたせいでもありますが、レチノールってスゴイ!と、期せずして実感することになりました。パックをやめてからひと月近く経った今では、その白さも、プラスチック的なつるつる感も薄れ、傷跡を除けば、傷跡周辺は他の指と違和感のない状態になりました。現在は、傷跡に塗るだけでなく、顔のケアにも毎日使っています。

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コーバン 自着性弾力包帯 と 指サポーター

3Mコーバン自着性弾力包帯と指サポーター
3M『コーバン』自着性弾力包帯と『指サポーター』

指を切ってしまってから、いろいろな方法でケアをしてきましたが、実際に切れているので、やはり傷口は痛いのです。傷口から先はパンパンに腫れて感覚がなくなりましたが、傷口は痛い。最初は、細胞が揺れるのも痛いくらいで、何かに触れることもできませんでした。基本的に左手の人差し指は常に浮かせている状態でしたが、就寝中はどうすることもできません。物理的に保護したいと思い、化粧用のコットンパフを半分に折ってふんわりと指に巻き、その上から『肌にやさしい粘着包帯』でぐるっと巻いて留めていました。クッションの役割です。もし何かに当たってしまっても、少しでもショックを軽減できたらと考えました。実はこれは、前回指を切ったときにもやっていた方法でした。少しでもストレスをやわらげるために、さらにその上から可愛らしい模様のマスキングテープを巻いていました。頻繁に目に入るところに可愛らしいものがあると、ちょっとホッとするのです。ただ、外出先ではそれが目立つということもあります。指の色に近い 3Mの『コーバン』は、ただ巻きつけてそっと押さえるだけで留まってくれる自着性の包帯です。しわしわになっているのは、なるべく引っ張らず伸ばさないようにして指に巻きつけるとクッション性もUPします。逆に引っ張って伸ばして巻きつけてしまうと、後からしめつけられる様な感覚になりました。

ケアの期間が長くなってくると、省ける手間はできるだけ省きたいという気持ちも出てきます。そういうときに、自着性の『コーバン』はとても便利でした。

もうひとつ、本当は、指を切ってしまった直後に持っていたらよかったな…と思っているものがあります。それは『指サポーター』です。指が曲がらないように支えが入っていて、簡易ギプスのような感じです。指はどうしてもすぐ曲げてしまいます。関節にかかる部分が切れている場合には、指を曲げると傷口がズレて開いてしまうのです。結局、わたしの傷跡は、皮膚がズレてくっついてしまい、切り口がえぐれたような状態になっています。中の皮膚が透けているような状態で、今も赤っぽく見えます。のちのち『指サポーター』なるものがあると知って入手しましたが、もし最初から使っていたなら状況は違ったかもしれません。

番外編:体と心を助けてくれるモノ

@aroma(アットアロマ)のファンディフューザー(芳香器)KO(コウ)ホワイトとエッセンシャルオイルB01オレンジグレープフルーツ
@aroma(アットアロマ)のファンディフューザー KO(コウ)とエッセンシャルオイル『B01』オレンジグレープフルーツ

10年近く前になりますが、1年半ほど、アロマテラピーの専門店で店員として働いていたことがあります。アロマテラピー検定1級も取得しています。そんなわたしが今自分で使っているのが、アットアロマのファンディフューザー『KO(コウ)』と、オレンジグレープフルーツの香りのエッセンシャルオイル。

小さくて、ほとんど音がしなくて、水や火や熱を使わずに香りを楽しめる芳香器をさがして、こちらにたどり着きました。単4電池2本を入れておけば、コードなどでつながなくても単体で使えて、どこにでも持ち運べることも大事なポイント。水や火や熱を使うと、どうしてもお手入れの手間がかかったり、熱で香りが変わってしまったりするのですが、アットアロマの『KO(コウ)』はそういった気になるポイントをすべてなくしてくれたとても使いやすい芳香器です。

『B01』という香りは、フレッシュなオレンジとグレープフルーツをギュッと絞ったような香りで、以前から愛用しています。香りは脳にダイレクトに伝わるので、好きな香りを嗅ぐと一瞬で気分がほぐれます。寝ても食べても何をしてもダメ…というときにも、香りは一瞬で助けてくれる。わたしにとってはいざというときのお守りのような存在です。

香りは、好みも大きく影響します。女性は好きな香りでも、男性には苦手と感じられるものもありますし、女性でも年齢によって好みが変わったりします。体調やそのときのストレス状態によっても変わりますし、個人差も大きいです。アロマテラピーといえばラベンダーを連想する方も多く、とても有名で代表的な香りですが、好きな方も多い反面、苦手な方も意外に多い香りです。難しく思われるかもしれませんが、ほぼ万人受けする香りがあります。柑橘系の香りです。アットアロマの『B01』は、リラックスにもリフレッシュにもおすすめできる、とても便利でありがたい香りです。

心がけていたこと

傷を治すためには、健康状態を良くすることが一番だと考えています。そのために積極的に食事に取り入れていたものがあります。バランスの良い食事のための合言葉『まごわやさしい』+αです。

  • ま:豆類→大豆・黒豆・小豆・ひよこ豆・お豆腐・納豆
  • ご:ごま・ナッツ→すりごま・ミックスナッツ
  • わ:わかめ
  • や:野菜
  • さ:魚→サバ水煮缶
  • し:しいたけ→きのこ類全般
  • い:いも

+α がコチラです。

  • カレー用スパイス粉末
  • ゼラチン粉末(小さじ1杯程度)
  • 桜えび粉末(大さじ1杯程度)
  • ダークチョコレート
  • ドライクランベリー
  • 『ハイチオールC』
  • 『チョコラBBプラス』
  • 『ナボリンS』
  • 『ファイチ』

太字で表示した食品他を重点的に摂ることを基本にしました。以前からよく摂っていたものもあれば、今回のケガを機に加えたものもあります。

中でも、1番頼りにしていたのが『ナボリンS』。『チョコラBBプラス』は以前から口内炎対策で飲んでいましたが、指の傷の回復にも一役買ってくれたと思っています。

メコバラミン(活性型ビタミンB12)1,500㎍配合のナボリンSとチョコラBBプラス
メコバラミン1,500㎍配合の『ナボリンS』と『チョコラBBプラス』

『ナボリンS』を選んだポイントは、メコバラミン1,500㎍配合、それに尽きます。指がパンパンに腫れて麻痺したような状態になってしまい、できることはなんでもやろうと思いました。メコバラミンは、末梢神経には効くこともある、効かないこともある、個人差も大きいようでしたが、効くこともあるかもしれないなら、後悔しないように摂っておこうと思ったのです。結果的に効かなかったとしても、やらなかった後悔よりやった後悔の方がマシです。それは、最初に病院へ行く決断をできなかったことで痛感していました。

メコバラミン(活性型ビタミンB12)1,500㎍配合のナボリンS
メコバラミン(活性型ビタミンB12)1,500㎍配合の『ナボリンS』

これのおかげもあってか、指の麻痺はだんだんと薄れていきました。これだけの効果かどうかはわかりませんし、多分、これもある、他もある、その相乗効果かもしれません。それでも、これを飲む選択をしてよかったと心から思っています。

傷口の経過(写真つき)

傷口の経過を写真とともにお伝えしますが、あまりにひどい状態のときの写真は控えています。切った翌日から1週間ほどの傷口周辺の様子は、自分であらためて見てもギョッとするような、目を逸らしたくなるような写真ばかりです。切った直後の写真は、これでもまだマシだと思っていますし、当初の様子は基準になると思いますので掲載します。

まずは切ってすぐ、ようやく止血できた直後の様子です。傷口がV字になっていて、包丁の刃がVの先端を結ぶところまで三角形に入ったと思われます。すでにVの内側が腫れはじめているようですが、そのときはそこまで気づきませんでした。

包丁で切って止血後すぐの左手人差し指の傷口
切った直後、止血後すぐの左手人差し指の傷

その日の夜の痛みは鮮烈でした。感覚的には、ほぼ眠れなかった…と思うくらい痛みに支配されていたように思います。そして翌日、人差し指は傷口から先がものすごく腫れました。水仕事用のキズパワーパッドを指を一周するように巻いていたのが仇となり、傷口から先が鬱血したような状態に。色味も悪くなってきていたため、やむなくはがして、対処方法を変えました。

指が曲がらなくなったら困ると無意識に思っているのでしょう。毎朝目が覚めると、左手の指をギューッと力いっぱい握りしめている日が続きました。じゃんけんのグーの状態です。いくら傷口を被覆材で覆おうと、テープでとめようと、関節にかかった傷が開かないわけがありません。切れていて痛い傷口の皮膚がズレて傷口が残ることよりも、指が曲がらなくなることの方がずっと怖かったのだと思います。

この段階では、指をまっすぐに押さえた方がいいのでは?とか、その方法を考えるといったところまで頭がまわりませんでした。切ってしまって1週間ほどはこの状態が続き、その間に、傷口の皮膚はズレた状態でくっついてしまいました。

当初は、細胞が揺れるのも耐え難いほどの激痛でした。洗い終えた洗濯物を振りほどくことなど到底できません。しばらくは右手だけで洗濯物を振りまわしていました(苦笑)。左手の人差し指の切り傷ひとつで、家事能力は激減、何をするにも時間がかかる。左手人差し指は完全に戦力外なので、代わりに左手中指が頑張ってくれました。人差し指にほんの少し触れるだけでも激痛が走るため、常に人差し指を浮かすようになっていました。

『プラスモイストP』でのケアを続けていましたが、巻きがあまく、ふんわりと浮かせすぎてしまった結果、傷口が渇いてしまったこともありました。傷口が渇くときも激痛が走ります。傷口を乾かしてはいけないのだと痛感する瞬間です。

こちらは、切ってしまって約3週間後の様子。切り口周辺の皮膚が渇いて浮き上がっています。

包丁で切って約3週間後の左手人差し指の傷跡
約3週間後の様子

傷口もようやくふさがったので、レチノールクリームを塗ってマイクロポアテープを貼るケアに切り換えました。その数日後の様子がこちら。

包丁で切って約4週間(1か月)後の左手人差し指の傷跡
約4週間(1か月)後の様子

傷口の上でひらひらしていた皮膚はやわらかくなってとれました。ずっとクリームでパックしているような状態なので、うるけたような感じになっていますが、本人的にはだいぶ良くなってきたな…とホッとする思いでした。そのケアを続けた数日後の様子がこちら。

包丁で切って約5週間後の左手人差し指の傷跡
約5週間後の様子

皮膚が薄い部分の赤みがだいぶ薄くなってきたような気がしていました。傷自体もどんどん回復に向かっているように思いました。傷口周辺の皮膚のしわしわは、テープの跡というか、貼り方の跡というか。特に気にはしていませんでした。

包丁で切って約8週間(2か月)後の左手人差し指の傷跡
約8週間(2か月)後の様子

だいぶ良くなってきていますが、指の真ん中あたりに赤みが出てしまいました。原因は、外出前にバイオイルを垂らして、UVケアをせずに外に出てしまい、マイクロポアテープを1枚貼ってはいたものの、その上から何かで保護をすることをしなかった結果、日焼けしてしまったものと思っています。ものすごくお天気のいい日の外出で、時間的にも余裕がなくて、あまいケアで長時間外にいてしまった私の自業自得です。なるべく右手で左手を覆うようにしていたつもりでしたが、あまかったと言わざるを得ない結果となりました。その後は、レチノールクリームでのケアに完全移行しました。

包丁で切って3か月後の左手人差し指の傷跡のアップ
3か月後の左手人差し指の傷跡のアップ

日焼けと思しき赤みは、レチノールクリームのパックの効果か、ほぼほぼわからない状態になりました。この頃には、貼りつけているテープが関節の動きに干渉すること、それに伴って皮膚表面に痛みが出てきたことの方が気になり、テープを貼るのはやめ、素手で生活することに慣れようとしていました。ぶつけてしまうと痛みも強いので、外出時には、UV対策も兼ねて傷跡の上にレチノールクリームをたっぷりのせてから、化粧用のコットンパフを半分に折って巻いたり、『コーバン』自着性弾力包帯を巻いたりしていました。

3か月以上経った今思うこと

多分骨に届くほど、ななめに深く切ってしまったため、切れてしまった範囲が大きく、今でも、その辺りの組織が表面の皮膚から骨のすぐ上まで一体化したような感覚で、シリコンでも入っているようです。しこりのように膨らんでいて、内容物に対して皮膚が足りないような、しこりが一体化して動かないから動きが制限されるのか、右手で指をグーッと押せばだいぶ以前に近いところまで曲がりますが、それでもピッチリ密着とはいきません。
もちろん、左手だけで折り曲げようとすると、相当がんばったつもりでもピッチリ折り曲げることはできず、3ミリほどの間隔があいているのが現在の状況です。少しずつ少しずつゆっくりとここまで回復してきたという実感はありますし、よくぞここまでフラットに近づいてきたなとも思っています。でも、正直ここまでかな…とも思っています。

麻痺したような感覚の鈍さは、何段階をも経て、薄皮や膜が1枚はがれるような感覚で少しずつ少しずつ、だんだんと痛みが戻ってきました。日常生活に耐えられるだけの痛みに調整してくれているのかと思う程の絶妙な加減に、人体の神秘を感じます。

振り返ってみますと、切った当初は、ただただモーレツに痛いだけでした。でも、傷口の奥に向かって深い傷だったためか、翌日、3日目と、傷口から先がパンパンに腫れ上がり、気づいたら爪のすぐ下の皮膚まで感覚がなくなっていました。熱い冷たい痛いの感覚がないだけでなく、触っても感覚がない状態でした。素人目に見て、指が倍くらいに腫れ上がっているように見えました。何しろ指です。おなかや背中などとは違い、もともと限られた範囲の閉塞的な部分です。そこが目一杯腫れるにいいだけ腫れていると思いました。指の断面は、普段は楕円形だと思うのですが、そのときは断面が真円になっているように見えました。指の厚みが倍近くになり、指が円柱に見える…と思いました。

その後1か月半を過ぎたあたりから、感覚のよくわからない状態だった部分のさらに一部分にビリっとした痛みが何度も走ることがあり、その後数日すると感覚が少し戻った感じがする…と思うことが何度も何度もありました。また数日して、少しズレた部分でビリっとした痛みを感じて、また少し感覚が戻った気がする…ということを同じ箇所で何度も積み重ねるうちに今ではすっかり感覚が戻っているように思うのです。1回のビリッで感覚がすべて戻るというようなことはなく、薄皮が1枚ずつはがれていくような感覚で少しずつ少しずつ触っていることがよりリアルにわかるようになっていきました。今でも、毎晩タオルケットの感触を確かめては、感覚があることのよろこびをかみしめています。最初は全然わからなかった感覚が、だんだんリアルに鮮明になっていったことがとてもありがたく、今もとてもうれしく思っています。

2か月ほど経った頃から、ずっと使わないようにしていた左手人差し指を積極的に使うようにしはじめました。最初に驚いたのは、左手人差し指の焦点がズレていること。以前と同じように親指と人差し指の指先を合わせたつもりが微妙にズレていて、糸状のものをつまむことができないのです。それに加えて、つまむという動作は指先に力が入ります。力を入れると痛みが出てしまう人差し指の右側側面を意外にいろいろな場面で使っていることにも、痛みで気づかされました。

それらのことがわかってから、焦点を合わせるときは目で指先を見ながら指先を合わせること右手で左手人差し指をマッサージすることを始めました。いわゆるリハビリの開始です。マッサージを続ける中で、指の腫れやしこりはだいぶ良くなってきました。それと同時に、痛みや指を使うことにもだんだんと慣れていきました。糸状のものをつまみあげることはできるようになりましたが、つまんだまま力を込めてギュッと引く動作は今もまだできません。指先に瞬間的に力を入れて糸が動かないようにキープすること、ギュッと力を入れて指を握りしめることがしっかりできないのです。この状態は、この先も劇的によくなることはない気がしています。ですが、その程度のことであれば、左手中指でも十分に代用できます。中指のポテンシャル、人体の順応性には驚かされるばかりです。

わたしが切ってしまった左手人差し指の真ん中の部分ですが、そこの感覚を一番何に使っているかというと、包丁で切るときに切るモノの厚みをはかっているのですね。この感覚がないと、厚みが全然わからないのです。ケガをする前はそれなりに均等に切れていたものが、ケガ後はいろんな厚みになってしまう。最初それに気づいたときには、今まで積み重ねてきたものが根底から崩れるような思いがしました。感覚が徐々に戻ってくるにつれて、以前のように均等に切れるようになってきたときには、一歩抜け出せた気がしてとてもうれしかったことを覚えています。

感覚は戻らないかもしれない…と覚悟していた身としては、動かしにくさや、まだシリコンが入ったような感覚が残っているとはいえ、ほぼほぼ感覚が戻ってくれたことには感謝しかありません。慣れもあり、順応もあり、日常生活には支障がありません。

でもそれは、裏を返せば、日常生活以外には支障があるということでもあります。以前はできた左手人差し指の細かな指の動き、調整、ギュッと握りしめることができないということは、それを必要とする行動からは自然と遠ざかることを意味しています。現に、あきらめたこともあります。
でもそれも、最初に病院へ行く判断をできなかったわたしの自業自得です。

包丁で切って3か月後の左手人差し指の傷跡と左手全体
3か月後の左手人差し指の傷跡と左手全体

人差し指って結構目立つんですよね。他人のことなんてそんなに見ていないものかと思いきや、たまたまふと目に入ってしまって、びっくりされている方もいらっしゃる。申し訳ないな…とは思うのですが、お声がけするわけにもいかず、かといっていつもテープを貼っておくというのも現実的ではなく。

こんな思いを、できれば他の人にはしていただきたくない。

もし万が一ケガをしてしまったら、『ほんのちょっと』のかすり傷や切り傷で済まない場合には、ぜひすぐに病院へ。

その判断が、その後のあなたを守ってくれると思います。

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