記録的大雪だった2021年~2022年の札幌、冬の暮らしのリアルと待望の雪解け

北海道立近代美術館入口の台の上にあったアヒルの形の雪玉アップ 暮らしの備忘録
雪国の遊び心。心遣いがうれしいアヒルの形の雪玉。
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3月31日、年度末になりました。あれだけ積もっていた雪も、だいぶ解けてきました。

雪国に住んでいるわたしは、道路のアスファルトが出てくるとようやく春がくるんだなと少し気持ちがラクになる気がします。『根雪』がなくなる日を、雪国に住む人々は本当に心待ちにしています。

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根雪(ねゆき)= 冬

根雪という言葉は、雪国以外にお住まいの方には、あまりなじみがないのでしょうか。

生まれも育ちも札幌のわたしにとっては、根雪になるともう冬になってしまったんだなと覚悟する感覚です。

ね‐ゆき【根雪】 降り積もって、そのままとけずに冬を越す雪。降り積もって長い間とけない雪。

精選版 日本国語大辞典

初雪は、その年によって11月のことも12月に入ってからになることもありますが、初雪がそのまま根雪になるということは、ほぼありません。降る量が少ないことが多く、地面に落ちたそばから解けていくからです。

本格的に雪が降りはじめるのは、以前は11月下旬~12月上旬頃からだったように思いますが、ここ数年は、12月下旬頃になることが多くなってきたように思います。ホワイトクリスマスになる、ならない、ということが夕方のニュースで取り上げられたりもします。

個人的には、どんどん日が短くなっていく冬至(2021年は12月22日)までの時期もちょっとつらいのですが、そこを越えてから雪に振りまわされる季節がやってきます。冬至を過ぎた頃から根雪になることが多いです。

根雪になると、いよいよ冬の到来です。札幌の雪日数は、例年120~130日。1年の3分の1は雪が降っているのです。

気象庁の3月31日現在の気象データによりますと、

ひと冬の積雪量は、札幌市中央区の平年値で454cm。

2021年11月1日から2022年3月30日までのデータでは、札幌市中央区で474cm、平年比104%。ちなみにわたしの住む地域では518cmです。

気象庁

札幌市は面積が広い(東京23区の面積の2倍弱にもなるそうです)ので、エリアによって雪が降っていたりいなかったり。山が近いエリアや北区・東区の方が雪が多い印象です。

札幌市中央区は、札幌駅や大通公園、すすきのなどがある札幌の中心的なエリアで、わたしの印象では、札幌市内のほかのエリアとくらべて雪が少ないイメージですが、それでも、5m弱の雪がひと冬に降っているのです。気温が低いので、そのままでは積もる一方です。

世界でここだけ

2022年1月1日現在の札幌市の人口は、197万人です。

人口統計/札幌市

200万人弱もの人々が生活する大都市で、これほどの雪が積もるところは、世界的に見てもないのだとテレビの夕方のニュースで取り上げられていました。雪の多い地域は、ほとんどが人の少ない田舎なのだそうです。

こんなにも雪が降る札幌市で、これだけたくさんの人々が暮らしていけるのは、公共の除排雪システムが確立されているためです。そして、そこに住む人々の忍耐強さにも支えられているように思います。

冬の間は、道路わきによけられた雪で、片側2車線の道が1車線になる札幌ですが、今季は、3車線の道も1車線になるほどのドカ雪。交通量の多いバス通りであっても、それは同じです。片側1車線の雪道にバスが停まると、後続車は停まらなければなりません。晴れている日はまだいいですが、吹雪で視界がきかないときなどは、対向車がヘッドライトをつけていても、すぐそばに来るまで見えないということはザラにあります。目的地までの予定時間がまったく読めません。雪のない時期の4倍になることさえあるのです。

さらに、車移動ならば出発前の除雪は必須です。家の玄関から道路まで、車の上やそのまわりも、生活に支障のないよう最低限の除雪はしなくてはなりません。雪の量にもよりますが、車庫がない場合は、除雪のためだけに1時間位は余裕を見ておく必要があります。毎日降るわけではありませんが、降らない予報だったハズの日でも朝起きたら積もっているということは珍しいことではありません。忖度など一切ない雪に早起きと肉体労働を強いられる日々が続くのです。

北海道立近代美術館入口にあったアヒルの形の雪玉
北海道立近代美術館入口にあったアヒルの形の雪玉

写真は、1月下旬、すごい雪の日の北海道立近代美術館です。

猛吹雪の中、デコボコの雪道を歩いて行ったら、アヒルの形の雪玉が並んでいました。こういう遊び心、たまりません♪

北海道立近代美術館入口にあったアヒルの形の雪玉アップ
アヒルの形の雪玉アップ

雪害レベル?記録的大雪

札幌市の21年度の除雪費が、総額306億円となる見込み。

北海道新聞

北海道新聞によりますと、初めて300億円を超え、過去最大となったそうです。

2月5、6日には、24時間で観測史上最多の60cmを記録した大雪で、札幌市内は災害レベルの積雪に見舞われました。

住宅街の細い生活道路のみならず、幹線道路の除排雪も到底追いつきようがありません。片側1車線の確保さえも危うく、バスも運休、一般車両も大渋滞。結局、例年の冬のレベルまで回復するまで1か月ほどかかったでしょうか。あちこちの生活道路で車が埋まって動けなくなりました。

JRは、札幌駅発着の列車が3日間にわたって全面運休。広範囲にわたる線路の除雪も人力で…広いエリア一面に、一度にたくさんの雪が降ることの現実を身に染みて感じました。気候変動の影響なのでしょうか、雪の降り方も変わってきていることを痛感させられる記録的な大雪でした。

ようやく春

あんなに積もっていた道路わきの雪山もだいぶ低くなってきました。歩道を歩く人やバス停さえも、雪の壁にさえぎられて見えない時期が今年は長かったように思いますが、ようやく、ようやく春です。1車線になってしまっていた道もだんだん広くなり、もともと2車線の道は、2台並走することもできるようになりました。

3月31日現在残っている積雪は、札幌は30cm、わたしの住む地域は52cmです。

札幌管区気象台

そんなに大変なのに、どうしてそこに住むのかと思われる方もいらっしゃることでしょう。

4年間をほとんど雪の降らない(でも札幌よりかなり寒い)釧路で暮らしたわたしは、こちらに戻って初めての冬、ひさびさの雪に改めて唖然とする思いがしました。よくこんなに雪が降るところにこんなにたくさんの人が暮らしているなとも思いました。

それでもやっぱり、わたしにとっては、生まれ育ったところなのです。あちこちに思い出のある、友だちも家族もいる土地なのです。現実的に、土地勘のある街でもあります。実家は一軒家で、札幌でも雪の多いエリアで30年以上を過ごしました。毎日の通勤も車でしていましたので、冬の間は、常に雪と時間と体力との闘いでした。まだ、ABSなどついていない頃の軽自動車で、運転中に本当に覚悟をしたことも1度や2度ではありません。どんなに気をつけていても、危険とは常に隣り合わせなのだと思います。数年後、ABSのついた車で凍結路面を走り、はじめてABSがかかったときは、何が起きたのかと思いました。これがABSなのかと体感するとともに、あーこれで交差点で一回転することもなくなるのだ…とホッとしたことを覚えています。

東京は桜が満開とテレビのニュースで目にします。淡く美しいピンク色に目を奪われます。札幌に桜が咲くのは、例年だと1か月先です。

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