自家製『野菜ストック』で『野菜のローリングストック』
時間や気持ちに余裕があるときは、お買い物に行って青菜を買ってきます。帰ってきたら、野菜室に入れる前に下ごしらえをします。
- 野菜室にしまって目に入らなくなると、ついうっかり、青菜の1番いい状態を逃してしまいがち。
- 1度にすべてを使いきれず、残った分が結局残念なことになってしまう。
これらの失敗から、青菜は、水分をたっぷり含んだフレッシュな状態のときにひと手間かけて、食べられる状態まで持っていくことを心がけるようになりました。
買ってきたときにまとめて処理をすると、あとあと自分がラクになります。まな板と包丁を出して、洗って、切って、切った野菜を集めて、使った道具を洗って片づけて、キッチンまわりを拭いて…という一連の作業も最初の1度で済むからです。
時間や余裕のない時に料理を1からはじめるか、袋から出すだけで食べられるかの違いはかなり大きいです。余裕のある時の自分に、余裕のない時の自分が助けられる野菜のローリングストックで、いつでも野菜をたっぷり美味しく食べられます。
まずは野菜の下処理をします
- 帰ってきて身支度を整えたら、青菜を洗って、根元のあたりを5mmほど包丁で切ります。
- 流しに置いた、浄水をいっぱいに張ったボウルに、根に近い部分を下にして、切ったものから順に入れていきます。
- 30分以上そのまま置きます。
収穫されたあと、流通して店頭に並んで、購入して持ち帰るまでの間に、どうしても水分が逃げてしまうので、水揚げをして、シャキッともとの元気な姿に戻してあげるのです。
アスパラやセロリなども同じように水揚げしています。
『野菜ストック』の作り方
- 生のまま食べられる野菜は、水分を軽く押さえてからひと口大の長さに切ります。3cm~5cm長さに切ることが多いです。
- まな板のそばにはかり(風袋を引けるものが便利!)を用意します。
- 大きめのジップロックのような袋の口を開いて、中に入れやすいようにぐるぐるっと外側に丸めるように口を開いた袋をはかりの上にのせて風袋を引き、ゼロ表示にします。
- 切った野菜を3の中にどんどん入れていきます。
- 全部入ったら、表示されている重さを確認します。中に入っている野菜の重さです。
- 野菜の重さの1割の重さの塩糀を5の中に入れます。
- 6で入れた塩糀と同じ量の米酢を加えます。
- 野菜がこぼれ出ないように、水分が漏れないように気をつけながら、全体が良く混ざるように袋の外側から混ぜ合わせます。
- 混ぜ合わせたら、できるだけ中の空気を抜くようにして袋を閉じます。開閉口がスライド式の袋が便利です。
- 袋の口が上になるようにして(水分が漏れないようにして)野菜室で保存します。
- 一晩置いてからの方が、味が馴染んで美味しいです。
- 1週間~10日ほど美味しく食べることができます。
野菜の重さの1割の塩糀と米酢、これが基本。計算するまでもなく作りやすいということがポイントです。
塩糀は、わが家の塩糀の場合です。市販の塩糀や、塩分濃度の異なる塩糀を使う場合は、塩糀の加減が必要です。
※米の花と書く『糀』という字が好きで、この表記を使っています。
塩麹と塩糀は同じものです。
薄味がお好みの場合は、塩糀を適宜減らしてみてください。すっぱいものが苦手な場合は、米酢の量を半分ほどに減らしてみてください。
生では食べられない野菜の場合
生では食べられないブロッコリーなどは、ひと口大に切ってから蒸して、同じように漬けることで美味しく保存できます。
- にんにくをうす切りにして一緒に蒸しても美味しいです。
- 袋に入れたあとで、輪切りの乾燥唐辛子も少々入れて、いろどりとピリ辛のアクセントを加えても。
ブロッコリーを大きめに切る場合は、きのこ類とは別々に蒸した方がきのこ類の食感が活きるかもしれません。
ポイントは、
- 蒸した野菜が熱いうちにヘラなどで袋に移して、塩糀と米酢を加えて混ぜ合わせること。
- 冷ますときは、袋の周囲をアイスノンで覆いつくすようにして一気に冷ますこと。
冷めていくときに味がしみるので、冷めた頃には美味しく食べられるようになっています。
味のバリエーションをもたせるには
- 輪切りの乾燥唐辛子
- 細切り塩昆布
- ふりかけの『ゆかり(梅入り)』
などなど…、お好みで適量加えていただくと味のバリエーションが生まれます。
少量加えてよく混ぜたら1日野菜室で保管して、味をみて足りないようならもう少し足すようにするとお好みの塩梅になりやすいです。1度に仕込む野菜の量によっても加減が変わりますので、少量から試していくことをオススメします。
酢を入れる理由
最初は、野菜の重さの1割の塩糀だけを入れて保存していました。ところが、作って数日経つと、袋の中で泡が発生していることがたまにありました。フレッシュな野菜と塩糀の相乗効果で発酵がはじまっていたのです。
発酵しはじめたばかりのときはそのままでも食べられますが、そのまま置いておくとどんどん発酵が進んでしまいます。だんだんぶくぶくシュワッとするようになり、野菜の甘みが抜けていってしまうのです。こうなってしまう(=発酵してしまう)のを防ぐために、最初仕込む段階で塩糀と同じ量の米酢を入れるようになりました。わが家の塩糀は、糀も家で作っていて、火入れをしていないので、なま糀です。なま糀ならではの発酵力の強さも影響しているかもしれません。
発酵を防ぐために入れるようになった米酢ですが、酢の力にも助けられています。美味しく保存できて、身体も整えてくれる。一石二鳥です。りんご酢やワインビネガー、黒酢などいろいろなお酢がありますが、まろやかな米酢がクセがなくて使いやすいと思っています。
そのままでも、炒めても、煮ても。
そのまま食べてももちろん美味しい野菜ストック。あと1品ほしいとき、野菜室を開けたら入っている野菜ストックに何度助けられたことでしょう。いつも何か入っているという安心感が、忙しい時の心の助けになります。
- 朝起きてすぐでも、外出して帰りが遅くなってしまったときも、野菜ストックがあれば、袋を開けて小鉢に盛って副菜の1品に。
- フライパンでお肉に火を入れて、お肉の赤みが消えたら野菜ストックの野菜を加えて、お肉と炒め合わせてメインのおかずに。
- 野菜ストックを汁ごと使って軽い煮込み、お水やトマトジュース、豆乳を少し足して具だくさんスープにも展開できます。
野菜ストック自体がすでに美味しく食べられる状態なので、あまり手をかけなくても味が決まります。他に加える具材が多いときは、火が入ったら味をみてお好みの調味料を加えればいいわけです。火を入れると酸味もやわらいで甘みに変わります。
急に帰宅した夫のとりあえずの箸休めにもピッタリ。出して盛るだけですから、こちらの負担にもなりません。
『野菜のローリングストック』心がけていること
心がけているのは、
- 常に清潔なお箸を使って取り出すこと
- 指や手などで袋の内側に触らないこと
そして、野菜ストックの残りが少なくなってきたら、新しい野菜ストックを作ること。できれば3種類くらいは常に野菜室に入っている状態にしておくことを目指しています。
1回に何種類も作らなくていいのです。作ったばかりのたくさん入っているものと、ついこの間作ったものと、その前に作った残り少ないものと…といった具合に、日をずらして作ると負担が少ないです。ほかの料理をするついでに1つ仕込むくらいの感覚の方がラクかもしれません。
作っては食べて、食べては作って…『野菜のローリングストック』のイメージです。
いつでも野菜ストックを作れる状態にしておくために必要なのは、美味しい塩糀を常備することとお買い物に行くことです。いつも何か入っている…とアテにしているのですから、野菜ストックがなくなって困るのはわたしです。
そして、お買い物に行って帰ってきたらそのまますぐ仕込んでしまうこと。青菜を野菜室などにしまい込んでしまわないこと。これは、わたしが心がけていることです。
身体も心もラクになっていく『野菜のローリングストック』
- どんなときでも美味しく食べたい。
- 簡単で身体にいいともっといい。
おなかがすいたときに、あ、アレがある!という暮らしは、心の負担を軽くしてくれます。例えば頭が痛いとき、今日は何もしたくない…という日でも最小限の労力でなんとかなります。わたしにも野菜ストックを作ること自体無理なときもあります。
でも、まずは余裕のあるときに、市販の塩糀と手始めにチンゲン菜を2束購入して、1度試してみてほしいのです。
- チンゲン菜を水揚げして、水気を軽く拭いて、ひとくち大に切って、はかりにのせた袋に入れて、重さを確認して、その重さの1割の塩糀と米酢をそれぞれ入れて、よく混ぜ合わせます。
- 塩昆布があれば、少し入れるともっと美味しくなります。
- 空気を抜いて、袋の口を上にして、野菜室でひと晩置いて浅漬け代わりに。
その翌日は、塩糀を少々加えてかき混ぜた卵を、多めのオリーブオイルを熱したアツアツのフライパンに流し入れて、ざっくり混ぜながら焼いたところに、水気を切ったチンゲン菜を加えて、混ぜながらあたたまれば、おかずのできあがり。
汁ごと全部使えば、具だくさんスープにもなります。味をみて濃いと感じたら、お水、トマトジュース、豆乳などを加えて。沸騰したら溶き卵を流し入れて、卵に火が入ればできあがり。お好みでコショーなど振っても。
卵は塩糀を加えると早くとけますし、ほんのり塩味がついて美味しくなります。
野菜ストックで『野菜のローリングストック』をしていると、いつでも美味しい野菜の副菜が食べられます。いつでも野菜もお酢も摂れる野菜ストックがあることで心の負担も減ることを、ぜひ1度体験してみていただけたらと思います。
※風袋を引ける『はかり』が1台あるととても便利です。MAX 2kgまでのものも多いですが、鍋やフライパンなど重めの物をのせてはかると、2kgを超えてしまうこともしばしば。3kgまではかれるものがオススメです。防水タイプもあります。